学生時代の友人に、「公衆衛生」という領域で研究をしている人がいます。あまりかいつまんで書いてしまうと誤った考えを植えつけてしまうかもしれないのですが、社会科学の中の研究領域のひとつで、個人ではなく、集団での健康に焦点を当てて「健康」を捉えていくということがその目的のようです。WHOでは「健康は単に身体の良好な状態だけをいうのではなく、精神的、社会的に個人が満足の行く状態のこと」と定義されていて、これを追及していく学問とのこと。その人のこの領域での研究の原動力となっているのは、「多くの人に社会制度や環境へ興味や関心を持ってもらい、互いに係わり合う必要性を理解してもらう」ということだそうです。 なんでもかんでも「ギリシャ」に結び付けてしまうこのコラム。少し無理はあるかもしれませんが、この話を聞いて浮かぶことがあります。現代ギリシャ語では時間に無関係に使えるあいさつの言葉に、「γεια σου」(ヤス)という言葉があります。英語では「Hello」というところでしょうか。ギリシャ語のこの挨拶の言葉を作っている単語、「σου」は「あなたの」、そして「γεια」は「υγεια」(イギア)の縮まった形でその意味は「健康」。ギリシャ語では、人と人を結びつけるあいさつの言葉に「健康」という単語が使われているのです。あいさつを交わす人がいなければ、その人は一人孤独です。孤独であることは不健康な状態。そんな考えがこの言葉から想像できます。まさに「人と人とが関わりあうことによって健康な状態が維持される」ということなのではないでしょうか?
とかく、日本では「健康」という問題が疾病や障害との関係で論じられるそうです。しかし、それだけでは「健康」という状態は維持できないのではないでしょう。とかく医者任せ、専門家任せにされている「健康」という考え。しかし、「健康」であることのヒントはすぐそばにたくさんあるように思います。
さて、「健康」。西欧語では「乾杯」にあたる言葉に使われています。フランス語では「A Votre sante」で「sante」がその意味、イタリア語ではそのものスバリ「Salut」。「酒は百薬の長」とはいうものの、もちろん飲みすぎには注意。飲みすぎないためには、一人で飲むより、気心のしれた人と一緒に飲むほうがいいのでしょう。だからこそ「健康」。ちなみに現代語ギリシャ語でも乾杯は、「εις υγεια」(イス・イギア)。ちゃんと「健康」という単語が入っています。