小学3年生か、4年生ぐらいのとき、コカ・コーラのおまけに、コカコーラのボトルの形をしたキーホルダーがあった。日本のコカ・コーラのボトルだけでなく、アメリカ、中国、アラビア、ドイツ、フランスといったいろいろな国のボトルがキーホルダーになっていて、10種類ぐらいあったような記憶がある。世界にはいろいろな言語があることを、理屈ではなく事実として理解したのは、このときが初めてだった。せめていろいろな言語であいさつができればと思ったのはこのときかもしれない。
二十歳のとき、海外のいろいろなところを旅行しているおじさんが、「コーラはどこの国にいってもあるので、何を飲んでいいか困ったら コーラを飲む」と言ってたのを聞いて、コカ・コーラのボトルキーホルダーのことを思い出した。その後、21歳で初めて海外に出て以来、どこの国でもコカ・コーラだけは必ず飲んでいた。ところが、ボトルの文字はあまり意識しなかった。
つい先日2002年にギリシャに旅行したときのごみ袋(その時入手した地図、レシート、パンフレット、雑誌の切り抜きが雑然入った袋)を見ていたら、なんとコカ・コーラのペットボトルからはがしたラベルが出てきた。あまり記憶がないが、多分、世界のどこにでもあるコカ・コーラのボトルの、そのロゴが、国の(あるいは言葉の)特徴を現すもののひとつの材料かなと思って、保存していたようだ。国の物価の違いを表すのに、よく「ハンバーガーの値段」を基準にするように。
『世界ことばの旅―地球上80言語カタログ』という1~10までの数、簡単なあいさつなんかを吹き込んだCD付の本が10年ぐらい前に出版されていた。同じノリで『世界コカ・コーラの旅』みたいな本があれば、それはそれで立派な各国便覧みたいな資料になるのではないかなとちょっと感じたこともある。ところが、日本では、1980年代までは「コカ・コーラ」の文字がボトルに印刷されていたが、いまや「Coca Cola」のアルファベットが席捲。ギリシャでも、“Κόκα-Κόλα”ではなく“Coca-Cola”となっている。結局はボトルはその国の言葉を主張するのではなく、「アメリカ」を主張してしまっているようだ。そんなことを考えながら、検索してみたら、各国のコカ・コーラのボトルの写真を掲載している「世界のコカ・コーラ」なるサイトを発見。このサイトによれば「母国語ボトル(その国の言語で書かれたボトル)は現在ではアジア・中央アジア(旧ソ連邦)・中東・アフリカの一部のみ」だそうで、『世界コカ・コーラの旅』は今や実現不可能な状況。ってことは、あの中国でさえ、“Coca-Cola”。たしか「可口可楽」だったよ……。恐るべし「アメリカ資本主義」。
“Κόκα-Κόλα”と書かれたボトルを見てみたい。小学校の時に見た、ボトル型キーホルダーには、ギリシャのものがあったような気がするんだよな……。
余談だが、夏のギリシャでコーラを飲むのはちょっと危険らしい。ミコノスのホテルのレセプションで聞いた話。毎年旅行者が熱中症で倒れたり、最悪の時は亡くなったりするそうだが、その原因のひとつに、のどが渇いたからと、コーラのような糖分の高い飲み物を取ることが原因に挙げられるそうだ。糖分を分解するときに熱が出るため、熱中症になりやすくなるそうだ。渇きにはミネラルウォーターがいいようで……。