
オリンピックイヤーだった2004年、数々の雑誌でギリシャ特集が組まれていた。その中でも出色だったのが、“Esquire”の8月号。ギリシャを特集した雑誌で記憶に残るものでは、FIGARO Japonの1997年8月5日号(No.116)以来。“Esquire”の特集はクレタに関する記事もめずらしく充実していてた。この記事の中で気になったのが、ヴーヴェス(記事では「ブーベス」)にあるというオリーブの古木。アテネ・オリンピックでは、その若枝が、最後の種目(つまり、男子マラソン)のオリンピック金メダリストの贈られるオリーブの冠になるということでも話題になったオリーブの古木だ。
パートナーは古木、大木のたぐいを見るのが好きで、自分もこういうのは 嫌いじゃない。車を借りて島を巡るわけだし、ヴーヴェスに行くことにした。ここまではよかったのだが、雑誌でわかった地点情報は「ハニアより西内陸に15km」ということのみ。地図を見てもそれらしい地名はないし、ガイドブックにもそれらしい記載が見つからない。現地で情報収集すればいいかと日本を離れる時は、この“Esquire”のクレタに関する記事のコピーだけ持ち込んだ。
前日、サマリア渓谷のツアーに参加したとき、渓谷入り口まで送ってくれるツアーバスの中で、パンフレットを発見。そのパンフレットをよく見ると、オリーブの木の写真がある。ただこのパンフレット、ノルウェー語。ロケーションの特定までにはいたらず、このオリーブの木がヨーロッパでは有名な観光名所であることだけを確認。結局は、詳細な道路地図を買って、そこにヴーヴェスを発見。車で向かった。
オリーブの木は確かにでかい。木の周りは4.6メートル。木の高さは12.5m。かなりな風格だ。オリーブ畑の木を見慣れている目には、「これ本当にオリーブ?」と思ってしまう。オリーブは、地中海から北アフリカ一帯に自生していた野生種を5,000年から6,000年前に栽培するようになり、これが今の栽培種の紀元となっているそうだ。5,000年前といえば、ミノア文明がはじまったとされる年代。この文明を支えた産業が、ブドウの栽培や漁業、そしてオリーブでとくれば、何が何でヴーヴェスの古木の樹齢を5,000年ぐらいにして、クレタの歴史をずっと見てきたオリーブに仕立てたい。“Esquire”はまさにこのような解説。ところが、正確な樹齢は特定できないらしく、木のそばに立てかけてある案内板には、3,000年以上とある。まあ、張り合う古木も他にないだろうから、ここまでくれば5,000年でも3,000年でもどうでもいい。



木の周辺は整備されていて、EUによる補助があったらしい。すぐ横にはカフェが作られつつあるし、木の前には大型バスが何台か駐車できるスペースもある。観光地化しつつあるのは少し興ざめなところだが、こうなったからこそ、編集者の目に留まり、雑誌に取り上げられ、この木の存在を日本にいても知ることができたと考えると、ちょっとばかり妙な気分。幸いこのとき木とその周りにいたのは、自分とパートナーそして、猫、ヤギ、大量の蝉だったのでのんびりと木を眺めることができた。
蛇足だが、場所の特定がすんなりとできなかったヴーヴェスが、手持ちのガイドブック“THE ROUGH GUIDE TO Crete”にも載っていたことに気づいたのは、この日の夕方。オリーブの木があるのはヴーヴェスだけど、正確には、アノ・ヴーヴェス(Ano Vouves/Άνω βούβες)。ガイドブックでも、Ano Vouvesの索引で引けることがわかった。今回のヴーヴェスのように、地図やガイドブックでその場所が見つからないときには、Άνω(上の)とΚάτω(下の)、ついでにΜέσο(中央の)をつけてみて調べたら見つかるかもしれないと学習した次第。
lemonodasosさん、こんにちは。
神様にあったような気分というより、いつもそこにいて、これからもそこにいるんだろうなという何かゆったりとした、身近な感じを受けました。もし、日本にこのような古木があれば、木を触ることもできないでしょうが、このオリーブの木の肌には触れることもできました。古代のギリシャの神々が、人間的な性格を持って、人のそばにいたように、この木もそうなのかなと思いました。
素晴しいオリーブの木があるものですね。全然知りませんでした。神様にあったような気分でしたか?
暑くてそんな感じではなかったかもしれませんが、人がいないところで出会えるとは、そのオリーブの木はわざわざxasimotoさんたちの訪れを待っていたのでしょうね。