November 05, 2005

立花隆 エーゲ世界を巡る — 『エーゲ 永遠回帰の海』 —

お茶の水で足裏マッサージを受けたあと、本屋に立ち寄ったら、出版されたばかりの『エーゲ 永遠回帰の海』(立花隆 著、須田慎太郎 写真、書籍情報社 刊)を見つけた。立花隆ファンとまではいかないが、この人の本は何冊か読んでいるし、なによりもこの人の博覧強記ぶりはあこがれだ。早速購入。

『エーゲ 永遠回帰の海』は、1983年『月刊プレイボーイ』で企画・連載された「レンタカー・オデュッセイ 8000キロ」を書籍にしたもので、単行本となるまで実に20年以上の歳月を要したことになる。その経緯については、 あとがきに詳しいが、この本には、取材に同行し、さらに独自に追加取材をした写真家・須田慎太郎氏の7,000点ものオリジナル写真から選りすぐられた写真も掲載されている。こららの写真をふんだんに使って、フルカラー336ページの書籍を1,500円という値段で出すため、技術の進化を待つために費やされた時間ともいえる。

この本はもちろん「どこどこでは、これこれの遺跡があり、ここにはこんな歴史がある」という類いの内容ではない。8,000キロの旅でさまざまな場所を訪ねたに違いないが、その場所すべてが網羅されているわけでもない。この8,000キロの旅の中で喚起された、思索という内面への旅の記録といったほうがいい。それは、章立て、「聖山アトスへ」「アポロンとディオニュソス」「聖なる神と性なる神」「ネクロポリスと黙示録」「終末後の世界」を見れば明からだ。自分は、こういった文章はどちらかというと好きだ。学生時代に、なかなか読み進められないニーチェやアリストテレスの著作と苦闘したことも思い出した。そして、上質な旅は、あたかも書物を読み解くかのように、内面への思索に誘ってくれることをあらためて感じた。聖アウグスティヌス曰く「世界は一冊の本にして,旅せざる人々は本を一頁しか読まざるなり」。

こういった内容の本が苦手な人でも、序章には目を通すといいかもしれない。須田慎太郎氏はこの取材で撮影した写真を、富士フォトサロンで、書籍と同名の「エーゲ 永遠回帰の海」というタイトルで開かれた個展で展示している。この個展のプログラムに立花隆氏が書いたテキストの一節一節を配置したのが、この本の序章だ。写真集のようだが、単なる写真集じゃない。この序章は、あとに続く章のエッセンスにもなっている。

まったくの余談だが、立花隆氏は、うちの近所に事務所がある。知る人ぞ知る「ネコビル」だ。ほろ酔いで歩いているところを見かけたこともあるし、神保町で購入したと思われる大量の本を持って歩いているところを見かけたこともある。見た目は普通のおじさんなんだけどな……。

コメント

Xasimotoさんもお買いになったんですね!普通の本ならまだ購入を考えますが、全ページフルカラーっていうのがすごいです。これが決め手でした。あとは、文字が少なくってすぐに読めるというところでしょうか(笑)

  • Posted by: ito at November 6, 2005 10:09 PM

ギリシャ本は写真集に限るとおもっていたら、字ばっかりだけど面白い本見つけたよ。「ギリシャ裏町散歩」っていうタイトルの本。パラパラっと拾い読みしてるうちに、気がついたら、しっかり読んでいる私。なんか、ギリシャのイメージが一新したって言うか、へ~って思った。

  • Posted by: ももちゃん at November 18, 2005 04:41 PM
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